大場谷地の花図鑑1 |
大場谷地湿原は八幡平西部の焼山火山の北西山麓、行政区分上は仙北市との境界に近いが、鹿角市になっている。
湿原の脇を国道341号線が走っており、駐車場や木道も整備されているので、簡単にアプローチ出来る。
湿原の面積はおよそ40ha、標高は960m、この辺りでブナ帯から亜高山帯針葉樹林に移行している。
そのせいか、両方のゾーンの植物が見られ、更に湿地性のフロラも加わって、植物の種類は意外に豊富だ。
そのあらましは、「大場谷地、2015晩春と初夏」の頁を参照頂きたい(他にもホームページの【八幡平、大場谷地】に関連頁多数あり)。
本図鑑は、この湿原と周囲の森林で見られる草花と一部樹木を扱っている。
掲載順は便宜上、開花時期が早いものからとしたが、果実が顕著な一部の植物はそれが実る時期にも登場させている。
なお一部の植物には、名前の後に「?」を入れた。私の知識レベルで名前が特定できなかった植物だが、名前以外にも誤認識があるかもしれない。
正確な名前をご存知、あるいは正確な情報をお持ちの方は遠慮なくご指摘お願いしたい。
【春の花】
主に雪解けと同時に咲く花たち。その時期は、年によって幅があるが、概ね五月下旬から六月中旬頃にかけて。
ミズバショウの群生。バックは焼山火山。
2012/05/27
ミズバショウの咲き出し
2013/06/10ミズバショウ Lysichiton camtschatcense
2012/05/27
秋田では、ミズバショウはわざわざ深山や高地に行かなくても、低地にも生えているが、綺麗に群生しているとなるとそれは別問題だ。
アプローチが簡単でなおかつ綺麗な群生となれば、仙北市の刺巻湿原とここ大場谷地がすぐ浮かぶ。
なお大場谷地の特徴は、リュウキンカ(厳密にはエゾノリュウキンカ)が一緒に咲く点だろうか。
ミズバショウとエゾノリュウキンカの群生
2012/05/27
エゾノリュウキンカとリュウキンカは全体の大きさで区別するようだ。
秋田では、概ね国道46号線を境にして北にエゾノリュウキンカ、南にリュウキンカが分布すると聞く。
しかし鳥海山北麓のものは大型なので、ラインの引き直しが必要な気もする。
エゾノリュウキンカ Caltha palustris var. barthei
2016/05/15コバイケイソウ(後出)の芽出し。
2012/05/27
花のアップ写真だけで花の名を訊ねられることが多いが、
植物の分類には葉の形や全体の草姿、草丈、実などの情報も欠かせない。出来たら、芽出しの姿なども覚えておいてもらいたい。
ミズバショウとニッコウキスゲ(後出)の芽出し
2013/06/10
アキタブキ Petasites japonicus subsp. giganteus
2016/05/15キクザキイチゲ Anemone pseudoaltaica
湿原に進出しているのは少ない。
2012/05/27
湿原奥のアオモリトドマツ林に入ると、サンカヨウが群生している。
サンカヨウ Diphylleia grayi
この写真は近くのブナ林で撮影したもの。
2016/05/15
サンカヨウの芽出し
2014/06/02シラネアオイ Glaucidium palmatum
周囲のブナ林には多いが、湿原の中には少ない。
2014/06/21
2013/06/10エンレイソウ Trillium smallii
2014/06/21タムシバ Magnolia salicifolia
湿原の廻りのブナ林に多い。
2016/05/15
【初夏の花】
六月も半ばを過ぎ、ミズバショウやエゾノリュウキンカがひと段落すると、湿原はめっきり花が少なくなり・・・
と思ったが、それは間違いだった。小さく地味になっただけで別の花はけっこう咲いている。
タテヤマリンドウ Gentiana thunbergii var. minor
2010/06/15
エゾワサビ Cardamine yezoensis ?
2010/06/15ミヤマツボスミレ Viola verecunda var. fibrillosa
2010/06/15
ツルキツネノボタン Ranunculus hakkodensis
2010/06/15
ツルキツネノボタンは珍しい植物とされるが、それは東京から見ての話。
本州の日本海側地方には割と多い種類で、秋田の山では格別珍しいものではない。
ミツガシワ Menyanthes trifoliata
なお手前には後出のクロバナロウゲの葉も写っている。
2015/06/24ハクサンチドリ Dactylorhiza aristata
一般的な高山植物だが、この湿原にはあまり多くない。
2015/06/24
湿原奥のアオモリトドマツ林内。
ヒロハユキザサ(ミドリユキザサ) Maianthemum yesoense
2015/06/24
ユキザサ Maianthemum japonicum
2014/07/05マイヅルソウ Maianthemum dilatatum
2015/06/24
ヒロハユキザサ、ユキザサ、マイヅルソウの三種は葉の形や花色は異なるが、
学名を調べたら、いずれもマイヅルソウ属 Maianthemum で近縁だと気づいた。
ユキザサは低山に、ヒロハの方はより高所に多く、住み分けをしているが、大場谷地では両方が隣り合って生えている。
三種ともかつてはユリ科だったが、最近のDNA分類体系ではキジカクシ科とあまり聞き慣れない名前の科に変更された。
同じく次のツクバネソウや前出のエンレイソウ、後出のコバイケイソウはこれまた聞き慣れないシュロソウ科に変更。
科の変更への戸惑いはしばらく続くだろう。
ツクバネソウ Paris tetraphylla
2014/06/21ズダヤクシュ Tiarella polyphylla
2015/06/24
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(本頁は2019年1月4日にアップしました。)