6月いきなり姥石平

焼石岳では花が一番きれいな時期はナント6月上中旬。
他の高山の感覚から行けば、これはちょっと早すぎます。
実際、この時期、焼石岳を訪ねると中腹は雪だらけ。
雪の消えたところから、ミズバショウやリュウキンカが咲き出し、
シラネアオイの群生も素晴らしいのですが、
登山道は至る所、雪に埋もれたままなので、迷わないよう気をつけて下さい(右写真: 中腹の残雪風景 1992/06/27)
「こんな調子で、ホントに山の上に花が咲いてるのだろうか、こりゃモウズイカに騙されたに違いない。」と誰しも思う筈です。
ところが、山頂直下、標高1400mの姥石平に差し掛かると・・・

先ほどまでの疑念はみごと払拭。
\(^^)/さーすがモウズイカ様。ハハハハハーッm(_ _)mと感謝感激に変わる筈。
しかしこれも晴れてたらの話。ガスってたり、雨だったら、やっぱり恨まれるでしょうね。
姥石平の名前はともかく、あるはあるわの花筵、この世の天国、パライソ、シャングリラ・・・。まあナントでもお呼び下さい。








姥石平の花筵。白はハクサンイチゲ、黄はミヤマキンバイ、ピンクは・・。左奥の山は焼石岳本峰。
1994/06/12 
姥石平の花筵。左奥の山は横岳。
1994/06/12 
同じ写真は拙著「モウズイカのガーデニング狂時代」の114頁にも載せてあります。

「花筵」組の構成員は次の通りです
まずは、ピンクの小粒・ユキワリコザクラ、白のハクサンイチゲ、黄のミヤマキンバイ。
ユキワリコザクラは一見ハクサンコザクラに似てますが、更に小型。
他の山でも時々見かけますが、焼石のように一面に群生するのは珍しいことです。
ハクサンイチゲは東北では鳥海山、月山、朝日連峰など日本海側では普通ですが、奥羽脊梁では非常に少なく(南蔵王と秋田の朝日岳くらいか)
焼石岳の大群生は異色とも言えます。

ユキワリコザクラ Primura modesta var. fauriae とハクサンイチゲ
1994/06/12
ハクサンイチゲ Anemone narcissiflora var. japonica
その足許にミヤマキンバイ、ユキワリコザクラ。1994/06/12
ミヤマシオガマ Pedicularis apodochia
下の白い花はチングルマ Sieversia pentapetala
1992/06/27

以前、北アルプス白馬岳で見かけたミヤマシオガマは花が小さく色もくすんでパッとしませんでしたが、この山ではとても綺麗なマゼンタです。
東北では、焼石岳の他に早池峰山、月山などで知られています。
その他に、薄紫のムシトリスミレやピンクのコイワカガミ、ハクサンチドリ、白のチングルマ、ヒナザクラ、
黄のミヤマダイコンソウ、ホソバイワベンケイ、キバナノコマノツメなどなどが加わり、まさに百花繚乱になります。

ムシトリスミレ Pinguicula vulgaris
廻りの芽はホソバイワベンケイ Rhodiola ishidae
1992/06/27
ミヤマキンバイ Potentilla matsumurae 
他にハクサンイチゲやミヤマシオガマも混じっている。
1992/06/27
姥石平の花筵。この付近はミヤマキンバイが濃い。
バックは焼石岳山頂。この後、左の岩の上で昼寝したような記憶が・・。
1994/06/12



こんなに早い時期から、こんなにいっぱい花が咲くのは、何故でしょう。
おそらくは、この姥石平は風のコリドー(回廊)になっていて、
冬の間は風が強くて雪は吹っ飛ばされ、積もるどころじゃない。
春の陽射しを浴びた地面はいち早く暖かくなる。
だから早く咲く。

たぶんその通りだと思いますが、それだけではありません。
予めクィック・スターターが居ることも必須。
ここでは、ユキワリコザクラやハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、ミヤマシオガマなどの花が該当します。

吹き飛ばされた雪は・・・と言うと、東斜面の中腹にどんどん溜まって行きます。
だから中腹ほど雪が多くなり、そこでは春の訪れが遅いのです。


乾燥したイメージの姥石平にも、ところどころに湿った場所があります。
そこではイワイチョウやヒナザクラなど雪田(せつでん)植生の他、
ワタスゲ、コバイケイソウなど湿地性植物も見かけます
(季節が進むと、キンコウカ、イワショウブ、コバギボウシ、エゾシオガマ、トモエシオガマなども加わる)。
ヒナザクラは雪の多い中腹・銀明水付近ではもっと遅い時期まで咲き続けます。



右写真: ヒナザクラ Primura nipponica のアップ。
 雪の妖精そのものです。1990/06/23









新雪が舞い降りたようなヒナザクラの群落。
 東北の高山でしか見られない貴重な花風景。1994/06/12

次は「7月婆さんひと休み」です。
トップページに戻る