焼石岳の花図鑑3.八月編 |
(本頁は「焼石岳の花図鑑2.七月編」の続きです。)
【八月の花】
八月になると、焼石は再び花が多くなる。
特に多いなと思うのは、キク科のトウゲブキ。中沼コースを歩くと、中沼の畔から銀明水まで延々と、更に姥石平から山頂まで、この花が咲いている。
中沼のトウゲブキ群生。
2017/08/06
トウゲブキ Ligularia hodgsonii
こちらは山頂に咲いていたもの。
2017/08/06ドクゼリ Cicuta virosa
高山植物ではないが、中沼から銀明水にかけて多い。
2017/08/06
ミズギク Inula ciliaris
名前のごとく、水湿地に多い。
2017/08/06オニシオガマ Pedicularis nipponica
日本海側の深山に見られる大型の半寄生植物だが、
奥羽山系では焼石に多産する。
2017/08/27
ミズギクも中沼から銀明水にかけて多い。高山植物でもないのに、南本内岳では山頂部でも見られる(そこには前出のウサギギクも有るので紛らわしい)。
焼石岳にはこのような分布パターンを示す花がけっこう多い。オニシオガマやコバギボウシもそうだし、前出のヒオウギアヤメも然り。
ギボウシ以外は他の山ではあまり見かけないが、焼石には異常に多い。これらは焼石を特徴づける花風景なのかもしれない。
オクトリカブト Aconitum japonicum ssp. subcuneatum
全山に有るが、中沼の畔の群生はみごと。
2017/08/27
ウゴアザミ Cirsium ugoense
2017/08/06マルバキンレイカ Patrinia gibbosa
2018/07/27
この山にはウゴアザミも多い。中沼コースでは登山口から山頂までほぼ切れ目なく分布している。
東成瀬コースにも多く、登山道に覆いかぶさるように茂るので、チクチク痛くて参ってしまう。
ツルアリドオシ Mitchella undulata
2017/08/06
樹林帯では、他にコイチヨウランやアケボノシュスラン、ツルニンジン、ソバナ、ジャコウソウ、トリアシショウマなどを見かけた。
トモエシオガマ Pedicularis resupinata var. caespitosa
2017/08/27チョウジギク Arnica mallotopus
2017/08/27
トモエシオガマは上沼から銀明水付近、焼石山頂部や南本内岳などに多い。
チョウジギクはオニシオガマ同様、日本海側の要素で、この山では両方が揃って咲いていることが多い。
アラシグサ Boykinia lycoctonifolia
銀明水付近で見かける。
2017/08/06コバギウシ Hosta sieboldii
焼石では中沼から山頂付近まで広く分布。
2017/08/06
銀明水付近の雪消えの遅い斜面では、八月になっても、リュウキンカやヒオウギアヤメ(いずれも前出)が咲いていることがある。
湿った場所では、他にミゾソバ、シロバナトウウチソウ、ダイモンジソウ(後出)などを見かけた。
七月は休んでいた姥石平も八月の声を聞くと(年によっては七月下旬から)、花数が増えて来て、お花畑が復活する。
姥石平のお花畑。
2017/08/06
今頃の姥石平から東焼石岳にかけての草原で、多いのは、
トウゲブキ、ミヤマアキノキリンソウ(黄)、コバギボウシ(薄紫)、オオバギボウシ(白)、ハクサンシャジン(薄青紫)、ハクサンフウロ(ピンク)、
白いセリ科のミヤマトウキ、シラネニンジン、シロバナトウウチソウ(白)、ウスユキソウ(白)など。
クルマユリはあまり多くないが、朱赤の花はよく目立つ。
クルマユリ Lilium medeoloides
2017/08/06タテヤマウツボグサ Prunella prunelliformis
余り多くない。
2017/08/06
少し湿った場所ではキンコウカやイワショウブ。
キンコウカ Narthecium asiaticum
2017/08/06
イワショウブ Tofieldia glutinosa subsp. japonica
2017/08/06ノギラン Metanarthecium luteoviride
本来、低山性の植物だが、姥石平には多い。
2018/07/27
焼石岳山頂部も姥石平と同じような花が咲いているが、
強いて違いを探すとなると、キオンの存在だろうか。キオンは場所によっては低山にも生えているが、
高山では月山、乳頭山付近でも見ている。
キオン Senecio nemorensis
2017/08/06
ミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)
Solidago virgaurea subsp. leiocarpa
2017/08/27ハクサンフウロ
Geranium yesoemse var. nipponicum
月山のものと較べると、花がやや小さく、色も淡い感じがする。
2017/08/06
ウスユキソウ Leontopodium japonicum
2017/08/06ハクサンシャジン(タカネツリガネニンジン)
Adenophora triphylla var. hakusanensis
2017/08/06
この山で面白いのは、ハクサンイチゲが二度咲きする点。
六月の開花と較べるとパワー不足だが、確かに咲いている。
二度咲きは焼石ハクサンイチゲの専売特許かと思っていたら、鳥海山や月山、朝日連峰でも似たような事例がある。
これはハクサンイチゲという種のキャラクターとして認識しよう。
ハクサンイチゲ Anemone narcissiflora var. japonica の二度咲き。
同じ「ハクサン」を冠するハクサンフウロやハクサンシャジンと一緒に咲く点が面白い。
2017/08/06
ミヤマリンドウ Gentiana nipponica
2017/08/06オクキタアザミ
Saussurea riederi var. yezoensis f.japonica
焼石以外は鳥海山、羽後朝日岳と産地が限られる。
2017/08/06
今頃の時期、他には、
エゾオヤマリンドウ(後出)、黄と白のニガナの仲間、ヤマハハコ、ヒトツバヨモギ、ヨツバヒヨドリ、ゴマナ、ハンゴンソウ、ミソガワソウなども見かけた。
次(秋田斜面)へ行く。 管理者注:本頁の写真は(`◇´)何人たりとも無断使用はまかりならん!
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(本頁は2019年3月5日にアップしました。)