2011年スプエフェ紀行
4月中下旬・仙北地方の花どころ

今年の秋田県、特に内陸南部は数十年ぶりの大雪に見舞われた。横手市の実家では、4月中旬になっても田んぼに雪が残っている有様だった。
したがって今年のスプエフェ探訪・後半戦はのんびり行こう。
なんて思っていたが、
4月中旬のとある日、ローカルテレビが仙北市刺巻地区のミズバショウが見頃になったと報道していた。
この場所、地元ではかなり有名で、例年、シーズンになると、露店が立ち、駐車場は満杯になる。
人混みの苦手な私はここしばらく寄ってなかったが、今日は平日で雨天だから観光客も少なかろうと思い、訪ねてみた。


関東以西の暖国にお住まいの皆様にすれば、ミズバショウは、♪遥かな尾瀬、高嶺の花のイメージかもしれないが、
北国に行けば、それは低地にもうじゃうじゃ生えていて、「ベコの舌」などの興ざめた呼称もあるほど。
秋田では、標高100mにも満たない山すそや丘陵地の谷あいなど、水浸しになった場所なら当たり前に生えている。
4月下旬から5月上旬にかけて、新幹線こまちに乗ると、車窓からいくらでも眺められるし、私モウズイカの住んでる御所野ニュータウンにも群生地があるこちら参照)

にしても、この地のミズバショウの群生はみごとである。
これは、地元の人たちが夏場、ヨシをせっせと刈り取ってくれているおかげらしい。

奥の方に行けば、もう一種のサトイモ科、ザゼンソウもある筈。
(^^♪有った。有った。
(´π`♪こっちを向いてごらん。
ザゼンソウ

ミズバショウは花が終わっても、巨大な葉や肉穂花序が秋まで延々と残るので、そのライフスタイルはスプリングエフェメラルとは言い難い。
しかし見頃はスプエフェと同じ時期なので一緒に紹介しよう。
ザゼンソウの葉はミズバショウよりも寿命が短く、ヒメザゼンソウこちらなどは春に広げた葉を6月には枯らしてしまう(開花は6月頃)。
そういう意味では、ザゼンソウの仲間はスプエフェにより近い生態をもっている。

湿原の奥のやや乾いた場所には、カタクリの群生地があり、例年みごとな花筵になるのだが、
今年はまだ雪筵のままだ。
数日後、近くにある「かたくり群生の里」を訪ねてみた(以前の紹介頁はこちら
天気はあいかわらずスッキリしない。前日は強い雨が降ったようで、カタクリはうなだれ咲きだった。



カタクリの隣にはクリの実
このカタクリの群生地はクリの栽培地。立派なクリを育てようと笹や下草を刈り、堆肥を与えていたら、いつのまにかカタクリが増えて花筵になったと聞く。
したがって、この地のカタクリ群生は人為的なものである。

あまり知られていないが、付近の民家の裏山には、フクジュソウも群生している。
開花時期はカタクリよりも少し早く、今回訪ねた時にはもはや成熟モードに達していた。

雨天なので花が閉じているのは残念。
エンレイソウ
スプエフェとは言い難いが、同時期の山でよく見かけるのは
オオウバユリヒメザゼンソウの芽だし

ウスバサイシンの花。
花は地面スレスレに咲き、地味な色合いなので、チョウやハチは寄ってこない。かわりにキノコバエが受粉すると聞く。
なお葉っぱはヒメギフチョウ幼虫の食卓になる。

集うのはフクジュソウ、カタクリ、アズマイチゲ(花は左上、葉は左側にいっぱい)、
そしてキクザキイチゲ(右下に少し)。
この場所には他にもいろいろなスプエフェが咲いていたが、今回はこれくらいにしておこう。

最近、よく引用するので、またかと言われそうだが、
尊敬する中尾佐助氏が人為とお花畑に関して興味深い知見を披露していた。参考までに一部を紹介してみる((^^;)無断引用)
・・・日本の高山植物が自然のままよく残されていたことは、ヒマラヤの場合に比べるとよくわかる。実はヒマラヤの高山植物は人間によってひどく荒され、原始状態を復元して指定することが困難なくらいになっている。そこでは人間の手といっても、具体的には人間が飼っている家畜のヤク(牛の一種)の放牧による影響である。草食獣であるヤクは山の高いところの涼しい気候の動物で、夏になると氷河のふちまで登ってきて草を食べている。広いヒマラヤの山波の中でも、ヤクの放牧がない高山帯は捜すのに困難なくらいで、地形的に容易に人間が行くことができない険悪な場所か、東ヒマラヤの局地にしかない。
それほどヒマラヤの高山帯は荒されている。しかし、ふしぎなことに、ヒマラヤの高山帯や亜高山帯ではヤクの畜害の影響で、植物界は人間の目で見た限りではより美しくなってきている。それはヒマラヤの高山帯で代表的な美しい花の咲くシャクナゲ類やサクラソウ類、あるいは青いケシ(メコノプシス)の仲間などはヤクが食べないので、放牧の結果、これらのものがかえって増加してきて、美しさを増すことになったためである。
人間活動の影響は常にみにくいものになるとは限らない。より美しくする例もある。日本の自然保護もこの教訓を大事にしたいものだ。保護といえば、単に自然を大衆から隔離するしか考えないようでは逆に後ろ向きの姿勢である。・・・

「中尾佐助著作集 第四巻 景観と花文化」より

仙北地方の花どころとして、最も有名なのは、みちのくの小京都、 角館の桜並木だろう。
ゴールデンウィーク期間だけでも100万人前後の人が繰り出すと言うから、秋田はもちろん東北でも屈指の賑わいとなるが、人混みの苦手な私は25年くらい行ったことがない。
昨年、仙北地方で偶然発見したアズマイチゲ群生地こちらは、4月中旬にも関わらず、早くも花盛りになっていた。
近くの家の陰や林の中にはまだ雪がどっさり残ってると言うのに、ここだけは何故!?

全てアズマイチゲかなと思っていたら、右下の二輪はキクザキイチゲだった。

これは全てアズマイチゲ アズマの花弁(厳密には萼)の裏側は仄かに紅を帯びることが多い。
キクザキの白と迷ったら、ここを確かめてみよう。

西に開けたこの土手は特別に日当たりがよく、雪消えも早い。
土手の上は、見渡す限り、アズマイチゲの群生地(花筵)になっているのだが、今回は立ち入っていない。
何故ならそこは私有地であり、ロープが張られている。立ち入るには持ち主の許可が必要である。今回は残念ながら、持ち主の爺ちゃんの姿が見えなかった。
今年は土手の疎らなアズマイチゲで我慢しよう。
次(5月上旬)行くよ〜
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(本頁は2011年4月29日にアップしました。)