2017カムイミンタラ花紀行
7月28日、層雲峡から大雪山・黒岳、北海岳へ(1)

大雪山登山の二日目、7月28日はポピュラーな黒岳に登り、北海岳まで足を伸ばしてみることにした。
この日の天気は今のところ高曇りだが、午後からは雨との予報。
宿の向かいから出るロープウェイが動き出すのは午前6時。この日はのんびりと6時30分に乗車。
ロープウェイ窓から見た大雪山。左から黒岳、桂月岳、凌雲岳。

すぐリフトに乗り換え、黒岳登山口(七合目)をめざす。
黒岳リフトと黒岳 黒岳七合目登山口

七合目から歩き出すと、北や東の方の展望が素晴らしい。
まずは北の方、ニセイカウシュッペ山。
ニセイカウシュッペ山(1883m)、1800m超の無名ピーク、1811mピーク、平山(1771m)

左から屏風岳(1792m)、武利岳(1876m)、武華岳(1759m)と思われる。

高曇りだが、視程は良好だ。
東の方、はるか遠くに富士山型の山々が見えた。
左から雄阿寒岳、フップシ岳、雌阿寒岳、阿寒富士。
当初、北見富士だろうかと思ったが、角度がちょっと南寄りだし、富士山型の数が多すぎる。
距離はかなり有るが、阿寒地方の山々と同定すると配列等も納得が行くものとなった。

八合目を過ぎたあたりからそろそろ花が多くなって来た。
最初に目に入ったのは、チシマノキンバイソウ。
チシマノキンバイソウ Trollius riederianus

チシマノキンバイソウ Trollius riederianus

似たような草姿だが・・・
ミヤマキンポウゲ Ranunculus acris var. nipponicus

チシマノキンバイソウ(本州ならばシナノキンバイ)とミヤマキンポウゲの識別ができないとの訴えをよく聞く。
どちらもキンポウゲ科で葉が裂け、花が黄色なので識別しにくいかもしれないが、いくつかポイントを覚えておくと簡単だ。
ミヤマキンポウゲ Ranunculus acris var. nipponicus チシマノキンバイソウ Trollius riederianus
この場合、花の大きさはあまり当てにならない。
一般的にはミヤマキンポウゲの方が花は小さいが、栄養状態により、同じくらいの大きさで咲くこともある。

ミヤマキンポウゲの花を横から見ると、小さな緑色の萼がある。他には花弁にエナメルのような光沢がある点にも着目されたし。

チシマノキンバイソウ(シナノキンバイも同じ)を横から見ると、緑の萼のようなものは無く、
いきなり橙黄色の花弁から始まっているが、これ実は萼が花弁化したもの。この仲間の花弁は退化して雄蕊のように見える。

他に似たものとしては、ミヤマキンバイがあるが、バラ科で葉の形が違うし、草丈も低く、せいぜい30センチ程度。

萼が花弁化するとは何事かと言われそうだが、キンポウゲ科の植物はそれがやたらと多い。
クレマチスやアネモネの仲間(キクザキイチゲやニリンソウ、シュウメイギクなども含む)、ミスミソウ、オキナグサ、クリスマスローズなども皆そうだ。
チシマノキンバイソウ(本州ならばシナノキンバイ)やミヤマキンポウゲに似た黄色い花ではリュウキンカも萼が花弁化している。
なお、科はキンポウゲ科から独立することもあるが、シラネアオイのでかく綺麗な花びらも萼なのだ。

チシマノキンバイソウは前日の銀泉台ルートでは全く見かけなかったが、
今日の黒岳への上りでは一番よく目立つ花だった。

チシマノキンバイソウのバックにヤマブキショウマやタカネスイバが咲いている。

他に咲いていた花たち。
この斜面には背の高い草花(高茎草本)や低木が多かった。
タカネスイバ Rumex montanus ウラジロタデ Aconogonon weyrichii

タカネトウウチソウ Sanguisorba stipulata
バックにナガバキタアザミ。
このトウヒレン属は
ナガバキタアザミ Saussurea riederii subsp. yezoensis かと思ったが、
変種のダイセツヒゴタイ var.daisetsuensis とすべきか。

ナガバキタアザミは早池峰でも見かけたが、黒岳のものは背が高く1m近くあった。
変種のダイセツヒゴタイ Saussurea riederii subsp. yezoensis var.daisetsuensis とすべきか。


チシマヒョウタンボク Lonicera chamissoi 上からオオカサモチ Pleurospermum uralense
マルバシモツケ、トカチフウロの重なり。

マルバシモツケ Spiraea betulifolia トカチフウロ Geranium erianthum f. pallescens

マルバシモツケは登山口の樹林帯から山頂付近の風衝地まで広く分布していた。
樹林帯では人の背丈を超えるものがある反面、風衝地では僅か数センチのものもあった。
トカチフウロは北海道に多いチシマフウロの地域品種で大雪山周辺だけに見られるようだ。花はチシマフウロに較べると白っぽい。
トカチフウロ Geranium erianthum f. pallescens

ハイオトギリは(国内では)北海道限定種。
ダイセツトリカブトは世界中で此処だけ。前日に見たホソバウルップソウやエゾハハコヨモギ同様、大雪山の固有種。
ハイオトギリ Hypericum kamtschaticum ダイセツトリカブト Aconitum yamazakii

ダイセツトリカブト Aconitum yamazakii

けっこうな枚数の写真を撮りつつも、団体客に追い立てられるようにして、一時間と少々で黒岳山頂へ到着。
黒岳八合目からここまでのお花畑は前日歩いた赤岳ルート(こちら)ではあまり見られないタイプのものだった。
手持ち書籍(北海道新聞社・発行、大雪山の自然2 高山植物)によると、「高茎草本群落帯」と呼ぶとのこと。大雪山の懐の深さを感じた。


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(本頁は2018年1月19日にアップしました。)