風穴マジック/長走ほか

秋田県内には、低地でありながら、高山植物や珍しい植物が自生している場所が何箇所かあります。
蛇紋岩や石灰岩などの特殊な地質の場所では、山の高い低いに関係なく、廻りとは一風異なった植物景観が発達することは、昔からよく知られていました(蛇紋岩マジック参照)。ところが秋田にはそのような地質の場所は無いと聞いています。それでは何が原因なのでしょうか。

犯人(?)は、風穴(ふうけつ)現象でした。県北部・大館の長走風穴(ながばしりふうけつ)は全国的にも有名です。今回は長走以外の風穴も含め、ちょっと珍しい花達を幾つか紹介してみます。

オオタカネバラ 1988/06/01 コキンバイ 1991/05/07

長走風穴は標高160〜180mくらいの低地なのに、高山植物がたくさん生えている不思議な場所です。 写真は省略しますが、ゴゼンタチバナ、コケモモ、ベニバナイチヤクソウなどの植物は通常、亜高山帯、秋田でも標高1000mくらいまで登らなければ見られません。
ここ(長走)では真夏、外気温が30℃を越えるような時でも、5〜6℃の冷気が吹き出しています。従って、吹き出し口付近では普通の植物は生育できません。代わりに生えているのは、かつて寒冷な時代に低地まで降下した植物の残留部隊です。
この風穴の成り立ちですが、長走風穴の案内ページによると、「崩壊した岩石が堆積して出来た風穴の為、内部に無数の隙間があり、冬の間、山の下から、上に冷たい外気が送り込まれ、氷を作り、夏に冷えた空気が下に流れ出ている」と言う説が有力です。
コキンバイ 1991/05/07 ナンブソウ 1988/05/18
長走で顕著なオオタカネバラ Rosa suavis 、コキンバイ Waldsteinia ternata (ともにバラ科)、ナンブソウ Achlys japonica (メギ科)の3種類は近隣の高山でもなかなかお目にかかれない代物です。特にナンブソウは珍しく、日本特産でしかも北海道と東北地方北部のごく限られた場所にしか産しないと言う貴重な植物です(近縁種は北米西部に産する)。花は花弁もがくも無く、見栄えはしませんが、三つに割れた葉は実にユニークです。
ナンブソウ 1989/05/11

風穴に限った植物ではありませんが、ヤマシャクヤク Paeonia japonica やルイヨウショウマ Actaea asiatica にも遭遇しました。どちらもそれほど一般的な植物ではありません。ヤマシャクヤクは私が見つけた翌年は必ずと言っていいほど消えてしまいます。これは園芸用に採取される為だと思います。何故、山に置いたまま、楽しむことが出来ないのでしょうか。
ヤマシャクヤク 1988/06/01 ルイヨウショウマ 1988/06/02
クガイソウ Veronicastrum sibiricum やヤナギラン Epilobium angustifolium は高原のイメージがある花ですが、風穴地帯でもよく見かけます。
クガイソウ 1988/07/13
ヤナギラン 1988/07/13 コメガヤ Melica nutans 1988/06/02

低地にある風穴地帯はアプローチが簡単で植物観察にはもってこいの場所ですが、蛇がうようよ居ますのでご注意あれ。
あと言うまでも無いことですが、植物は写真以外は絶対にとったらアカンです。無闇に踏み込んで吹き出し口を壊すような行為も厳禁です。

風穴リンク
(風穴の植物を紹介したサイトを探してみましたが、意外に少なかった。)
長走風穴高山植物群落   大館郷土博物館の中のワンコーナーです。

風穴植物図鑑(かねやさんのホームページ)  長走風穴と周辺の野草が紹介されています。

南会津の風穴   素晴らしい自然派サイト・南会津の森の中のワンコーナーです。

ジャガラモガラのひみつ  山形県にある風穴です。


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(本頁は2003/03/21にアップしました。)