裏ノ林ニ居リマス
春〜初夏の森林植物/ユリ科&サトイモ科・編

十数年前、私はランの仲間を探しに、林の中をよく彷徨ったもんです。ランの仲間はやや気紛れな生え方をしますので、場所によってはさっぱり逢えないこともありました。そんな時でも、気落ちした私を慰めるかのごとく、或いは活を入れるがごとく、咲いている花がありました。林の中に咲く花は総じて地味ですが、細面色白の美姫が多く、じっくり観察するとなかなか味わいのあるものばかり。まずはユリ科、サトイモ科から行ってみましょう。
ウラシマソウ Arisaema urashima 1989/05/19 チゴユリの群生。 1988/05/16
チゴユリ 1991/05/15 ホウチャクソウ 1989/05/19
チゴユリDisporum smilacinum は地味ですがとても可愛いらしい花です。毎年、葉茎根のワンセットが枯れますが、翌年はランナーの先から新しい植物体を誕生させるので、「擬似一年草」と呼ばれるそうです。何かクローンが襲撃してるみたいですね。
ホウチャクソウDisporum sessile は下のアマドコロに似た花を寂しく付けますが、属はチゴユリと同じでした。同じような殖え方なのか、林の下によく群生します。
山野草店でよく売られているキバナホウチャクソウ(中国原産)は鉢に植えたものは楚々としてますが、庭に地植えすると結構でかくなります。


アマドコロの仲間
アマドコロ Polygonatum odoratum var. pluriflorum  1989/05/29
オオナルコユリ Polygonatum macranthum  1988/06/22
この仲間の花は格別綺麗ではありませんが、それこそ鳴子のようにプラプラぶら下がる姿が面白く、また放物線を描く草姿も魅力的です。ちなみに斑入りナルコユリの名前で流通している植物はナルコユリではなく、アマドコロの斑入り品種です。

続いてシュロソウの仲間
シュロソウ Veratum maackii 1988/06/22 シュロソウと
アオヤギソウ Veratum maackii var. parviflorum
こちらはどこにでも生えているわけではありません。秋田では男鹿半島の限られた山林に群生しています。両種とも混生し、中間的な色の個体も見られることから、同一種内での変異と思われます。


テンナンショウの仲間
林の中では出逢いたくないナンバーワン植物です。特にマムシグサ類は茎を包む皮(鞘状葉と言う)に蛇のような模様があり、思わずゾクッであります。次いで初夏に咲く花(仏炎ほう)にもドッキリ、何だか潜望鏡で見張られているようで、つい警戒しちゃいますし、秋に出来る真っ赤な艶のある実にもたじろぐと言った按配で、この植物には年に三回はドッキリさせられます。しかし襲いかかって来たり毒を吹きかけられることは決してありませんので、ご安心下さい。一説では栄養条件によって男になったり、女になったりと、性転換出来るそうです。羨ましいですね。もし出会うことがあったら、じっくり語り合ってみませんか。
1991/06/18
雄大な姿から、とりあえずオオマムシグサ Arisaema takedae としましたが、
仏炎ほうの口辺部が開出し、耳たぶ状なので、ミミガタテンナンショウ Arisaema limbatum
可能性もあるし、正直言ってよくわからない。テンナンショウ属の分類は(-_-;)実に難しい。
この仲間はユキモチソウを除き、よほどのことが無い限り、園芸に用いられることはありませんが、広大なウッドガーデンをお持ちの方なら、庭に緊張感を持たせるドッキリ素材として活用してみてはどうでしょうか(他にオオウバユリもオススメします)

次はランを見に行ってみませんか。

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(本頁は2003/03/30にアップしました。)