早坂高原の花図鑑(1.六月〜七月上旬)

早坂高原は北上山地の北部寄り、岩泉町と盛岡市(旧・玉山村)の境界付近に位置し、
標高は900〜1000m、白樺林や草原が広がり、放牧地にも隣接している。
ここには高原特有の花の種類が多く、五月末から十月までの間は絶えず何がしかの花が咲いている。
中には、東北の他の山ではなかなか見ることのできない貴重な植物も数多く有る。
私自身、ついつい引き込まれ、遠い秋田市から幾度となく通ってしまった。

この高原の花について語った書籍やガイドブックは、昔は有ったかもしれないが、現在は皆無のようだ。
植物保護、特に盗掘防止の観点に立てば、ここの花は語らずにそっとしておいた方がいいのかもしれない。
しかし今後、開発や放置(森林化の進行)が原因で失われてしまう懸念も大きい。
ひとつくらいこういった花の記録?が有ってもいいのではないかと思い、今回、作成に至った。

掲載順はおおむね開花の早いものからとしたが、一部の種類は複数回登場させている(群生の様子や実、紅葉など)。
植物名の同定にあたっては、既存の植物図鑑を参考にさせてもらった。何か間違い等にお気づきの方は遠慮なくご指摘頂きたい。



【六月の花】

ここは高冷地なので、春の訪れはとても遅い。五月末頃、枯草の間からオキナグサやカタクリが咲き出し、やっと春が始まる。

冬枯れの草原にいち早く咲いていたのはオキナグサだった。
2011/06/05

オキナグサ Pulsatilla cernua
2011/06/05
カタクリ Erythronium japonicum
一部の広葉樹林では下草刈りをしてカタクリを増やしていた。
2011/05/28

野生のオキナグサを見ることは稀になったが、
早坂高原や近くの薮川付近では割と普通に咲いていた。

ミツバツチグリ Potentilla freyniana
2011/06/19

フデリンドウ Gentiana zollingeri
2011/06/05
このタンポポは何だろう。
エゾタンポポ Taraxacum hondoense か、このエリア特産の
クザカイタンポポ Taraxacum kuzakaiense か。
2011/06/05

(この時期の訪問記録はこちら ⇒ われ幻のオキナグサを見たり。岩手ウブウブ編  うずのしゅげを知っていますか。 )

オキナグサが有れば、必ずと言っていいほどアズマギクも。

アズマギク Erigeron thunbergii の群生。
2011/06/19

オキナグサの若い実姿
2011/06/19
ズミ Malus toringo
2011/06/19

六月半ばになると、草原はすっかり緑色に変わる。それをバックに咲く派手な花はレンゲツツジ。

レンゲツツジ Rhododendron molle subsp. japonicum
分布が特定の遊歩道付近に限定的で、珍しい黄花も多いことから、
野生ではなく、植栽ではないかと思っている。
2011/06/19

丁度その頃、スズランも最盛期を迎える。
スズランやベニバナイチヤクソウは草原の他、林の中にも群生していた。いずれも日本海側地方では見られない花シーンだ。

スズラン Convallaria majalis var. keiskei
2011/06/19
ヒメイズイ Polygonatum humile
2011/06/19

マイヅルソウ Maianthemum dilatatum
2011/06/19
ベニバナイチヤクソウ Pyrola asarifolia subsp. incarnata
2011/06/19

アズキナシ Sorbus alnifolia, Aria alnifolia
2011/06/19

林の中で見つけたラン二種。

ササバギンラン Cephalanthera longibracteata
2011/06/19
コケイラン Oreorchis patens
2011/07/02

(この時期の訪問記録はこちら ⇒ 6月19日、見渡す限りのスズランは? )



【七月上旬の花】

七月に訪ねてみたら、草原の至る所でアヤメが洪水のように咲き乱れていた。
個人的には、野生のアヤメは北海道道東で小規模な群生を一度見たきり。秋田にはさっぱり無いが、ここの群生はただものではなかった。

アヤメ Iris sanguinea
2011/07/02

手前の白っぽいのは
シロアヤメ Iris sanguinea f. albiflora
2011/07/02
アヤメと
オオヤマオダマキ Aquilegia buergeriana var. oxysepala
2012/06/30

オオヤマオダマキ Aquilegia buergeriana var. oxysepala
の黄花品種。
2012/06/30
ハマナス Rosa rugosa
昔、早坂高原は物資の輸送に使っていた牛の通り道、休憩場だった。
ハマナスの実は三陸海岸で食べられ、この場所で糞の中から芽生え、
定着したのではないかと思われる。
2011/07/02

ここにはオオヤマオダマキもやたらと多かった。
更に驚いたのは、ハマナスの存在。ここは海岸ではなく、標高1000mの高原なのに・・・。

六月にオキナグサやアズマギクが咲いていた草地は、
キンポウゲやオオヤマオダマキが加わり、アルプスメドウのような雰囲気になっていた。

アズマギクやキンポウゲ、オオヤマオダマキが咲くメドウ。
2011/07/02

キンポウゲ(ウマノアシガタ) Ranunculus japonicus
2012/06/30
ネバリノギラン Aletris foliata
高山性のフロラ。
2011/07/02

オオダイコンソウ Geum aleppicum
2011/07/02
キバナハタザオ Sisymbrium luteum
個人的には初めて見た花。
2011/07/02

(この時期の訪問記録はこちら ⇒ 7月2日、高原なのに何故ハマナス  君はアヤメの大洪水を見たか  某高原でハマナスとアヤメに再会 )


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(本頁は2019年3月14日にアップしました。)