半野生のフェアリー
フクちゃんクリちゃん

今年の春は、偶々ですが、野草を撮影する機会がありました。ファインダー越しに野草を見るなんて10年ぶりでしょうか。まだ新鮮なうちが花。私にとっては珍しいことですが、野草のリアルタイム報告を行います。
フクジュソウ Adonis amurensis  2003/03/30 金浦町にて。
秋田で一番早く春が訪れる場所は、沿岸南部の象潟町や金浦町の辺りです。毎年、三月中下旬になると、「(^^♪金浦町の某地区でフクジュソウが咲きました。」とニュースが流れます。ところがいざその地区に行ってみると、ニュースに出た場所がどこなのかよくわかりません。人家の庭先や墓地には確かに咲いているのですが、テレビや新聞がわざわざ取材に来るほどのものではありません。この地区のどこかに天然のフクジュソウがワーッと群生している場所がある筈なのですが・・・。
某地区の周辺を捜し廻ってみたら、小さな雑木林の中にそれらしきものを見つけました。↑ご覧の通り、(^^;)ワーッ系群生にはほど遠いものの、平地の林としては、よく咲いてる部類ではないでしょうか。

全国的にも、フクジュソウの自生地は年々少なくなっています。その原因は、多くの場合、森林の開発ないしは放置です。開発は解るものの、放置が何故?とお思いでしょう。意外なことに、この地区のフクジュソウの群生は人によって維持されていたのです(↓リンクでは手加えず見守るとの表現ですが・・・)。この雑木林の林床ですが、他の林のように低木や笹がほとんど無いのです。これはたぶん誰かが定期的に下草を刈っていることを意味します。だから早春の間は日当たりが良いし、地面は大量の落ち葉でフカフカ状態になっています。こう言う場所は、フクちゃんにとって、天国なのです。同時に人間にとっても、心休まる場所。ゆめゆめ盗掘などするべからず。
フクジュソウ 2003/03/30 金浦町にて。 エンレイソウ 2003/03/30 金浦町にて。
この雑木林は、フクジュソウ以外にも、キクザキイチゲやニリンソウ、ミチノクエンゴサクヒメニラ、セントウソウなどのスプリング・エフェメラル(春のかげろう)の仲間が豊富です。すぐ消えるわけではないのですが、エンレイソウやスミレサイシンも多く見かけました。

小さな木にジンチョウゲのような花が咲いていました。ナニワズです。高さはわずか30〜50センチ。一見、常緑樹のようですが、真夏に落葉するそうです。
ナニワズ Daphne kamtshatica var. yezoensis
 2003/03/30 金浦町にて。


4月も半ばになると、雪深い内陸部からも花の便りが聞かれるようになります。
仙北郡西木村、八津(やつ)・鎌足(かまたり)地区には、国内最大規模とも言われるカタクリ群生地があります。私は10年くらい前からその存在を知っていたのに、何故かずっと行けずにおりました。私の住む秋田市からは車だと1時間ちょっと。割と近場なので、いつでも行けるさとの安易な気持が災いしたのでしょう。
2003年4月1*日。この日は朝から快晴でした。カタクリにはまだ早いかもしれん。でも二三日前から初夏を思わせるような陽気が続いているから、もしかしたらモウ・・・なんて考えていてもしょうがないので、まずは行動を起こしてみました。
カタクリ Erythronium japonicum の群生。 2003/04/1* 西木村にて。 

いわゆる花筵や絨毯とまでは行かないものの、一部の斜面では、↑のように咲いておりました。
カタクリは葉も魅力的です。通常、薄く紫がかった斑紋がありますが、中にはそれが濃くてクリアーなもの、のっぺりと全く無いものもあります。↓の個体は斑紋そのものは一般的ですが、黄色の外斑が立派でした。
黄色の外斑入りカタクリ
2003/04/1* 西木村にて。

場所によっては、フクちゃんと仲良く(?)混生してます。
カタクリとフクジュソウの群生 2003/04/1* 西木村にて。

カタクリ群生(左にキクザキイチゲ) 2003/04/1* 西木村にて。
ここのカタクリはわざわざ観光客を呼ぶ為に植えられたものではありません。幾つかの要因が重なり、偶々、カタクリが大群生するようになったのです。それがあまりにも広く、みごとなので、わざわざ遠くからお客さんが訪れるようになりました。
この群生地の正体ですが、実はクリ林です。ほんとはクリ畑、クリ園と呼んだ方が正しいのでしょう。ここに植えてあるクリは「西明寺栗」というブランド品です。大きくて美味しい栗の実を得る為、この林は実によく手入れされています。徹底した肥倍管理(主に堆肥)が行われた結果として、ここではクリの実が立派になると同時に、(元から有った)カタクリが増えに増えて花絨毯を作るに至ったのです。

通常はカタクリ姫と覇を競っているアネモネ姫(イチゲ類)ですが、ここでは完全に脇役でした。それでも凛とした姿を見かけると思わず立ち止まってしまいます。
キクザキイチゲ Anemone pseudo-altaica
の青紫タイプ。
2003/04/1* 西木村にて。
アズマイチゲ Anemone raddeana 2003/04/1* 西木村にて。
キクザキイチゲに似るが、葉の縁は丸みがある。
花の色は白のみで裏側が薄く紫を帯びる。
とても元気で瑞々しい葉を見つけました。このままだと、時を置かずして、何か素晴らしい花が咲くように感じますが、現実には葉を広げるばかり・・・。これはオオウバユリの芽だしでした。
オオウバユリ Cardiocrinum cordatum var. glehnii の若葉
2003/04/1* 西木村にて。

春の秋田はどこへ行っても花だらけ。1/3年間、雪に埋もれているのですから、それに対するリバウンドは大きい。特に積雪量の多い内陸部の山間では、梅も桜も桃も椿も辛夷(コブシ)も連翹(レンギョウ)・・・も、クロッカスもスイセンもチューリップも・・・も、カタクリもイチゲ類もスミレ類もミズバショウも・・・、皆一斉に咲きます。同時に鮮やかな新緑や春紅葉も楽しめます。花はまだ咲かないけど、或いは地味で目立たないけど、↑のオオウバユリの芽だしのように強烈な春オーラを発して、存在をアピールする植物もあります。山菜として食べられる植物もいっぱいあります。そんなわけなので、春の秋田は、植物を見ているだけでも、時の過ぎるのを忘れてしまう場所なのです。

フク&クリリンク集
フクジュソウ/手を加えず見守る福寿草は「町の天然記念物」          
  イラストがとてもいい感じ。 (from 小西堂の秋田てんこもり

西木村カタクリ群生の郷 
  花の絨毯写真がみごとです。(from 秋田の味の玉手箱

西木村八津・鎌足 かたくりの里
  実際に行かれる方は是非お読み下さい。
モウズイカ関係
春の妖精・援護リンク
野生のフェアリー     ◆藍のコリダ    ◆延齢草の館           

続いてカタクリの本格的な開花シーンです。

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(本頁は2003/04/20にアップしました。)