延 齢 草 の 館
(-_-;)写真重たくてスマソ

春先、山間に行くと、カタクリやイチゲ類とよく一緒に見かける花にエンレイソウがあります。漢字で書くと、「延齢草」ですが、名前の由来はよくわかりません。格別、寿命を延ばすような薬効があるわけでもなし、逆に有毒植物とされています。
エンレイソウ自体は綺麗な花ではありませんが、三枚の葉の間から、三枚の花弁(厳密にはがく)の花が咲く姿はとてもユニークで一度見たら忘れられません。属名のTrillium は「3のユリ」と言う意味です。今回は私の出会ったエンレイソウの仲間を幾つか、更にそれと似た雰囲気の花も少しだけ紹介してみます。
エンレイソウ 1989/04/22 二ツ井町にて。
エンレイソウ Trillium apetalon はいつも仲良くペアで咲いているような気がします。がく片は通常、地味な小豆色ですが、中には緑色のものもあります。いち早く花を咲かせるので、カタクリやイチゲ類のようにスプリング・エフェメラル(春の妖精)の仲間かと思っていたら、あにはからんや、真夏でも葉や実が残っていました。
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桜も終わり、新緑が盛りの頃、秋田県北部に行ったら、林の下に白い花弁を持つエンレイソウを見つけました。 ミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウ) Trillium tschonoskii です。秋田では、ある所にはどっさりあるが無いところにはさっぱり・・・という分布パターンを示します。
ミヤマエレンイソウ
1991/05/07 大館市にて。
正体不明のエンレイソウ
1990/06/23 焼石岳にて。
初夏の頃、焼石岳の山頂近くの低木林で、不思議なエンレイソウに出会いました。花弁が綺麗なワインカラーなのです。図鑑をあたってみたら、エンレイソウとミヤマエンレイソウの雑種( ヒダカエンレイソウ Trillium x miyabeanum )のようです。

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秋田県内のとあるハンノキ林を歩いていたら、またまた不思議なエンレイソウに出会いました。白い花弁を持っているので、最初はミヤマエンレイソウかなと思いましたが、どうも違う。取り合えず写真に収め、後で図鑑をあたってみたら、ナナナント!これは オオバナノエンレイソウ Trillium kamtschaticum ではありませんか。この種類は北海道ではあたり前ですが、東北にも分布しているとは、知りませんでした。「(^^;)これは案外、新発見かもしれん。ふっふっふ(-_-;)これで私も一躍有名になれる。早速、学会に発表せにゃ。」と思いましたが、いったいどこの何の学会に発表したらいいのか判らん。そうこうしているうちに、某会合で地元の植物にタイヘン詳しい某先生に会いましたので、思い切ってこのことを打ち明けてみました。そしたら「ん? (´π`; ナニナニ?その件なら私もずっと前から知ってましたよん。へたに新聞とか発表すると、あっと言う間に盗掘されてしまうので、知らんぷりしてたのよん。」
更に調べてみたら、岩手県や宮城県北部にも少数ながらある。となると、(^^;)秋田のこの場所は必ずしも分布の南限とは言えなくなりますが、裏日本では間違いなく南限でしょう。いずれにしろ世界で最も南(の方)に咲くオオバナノエンレイソウをとくとご覧あれ。
オオバナノエンレイソウ 1989/04/24 秋田県内某所にて。
オオバナノエンレイソウ 1989/04/24
ひとつの株から数多くの花が咲き上がりますが、
花の大きさはまちまち。
オオバナノエンレイソウのアップ
1989/04/24
エンレイソウの仲間は北アメリカが本場で30を超える種類があると言われます。中にはTrillium grandiflorum のように10センチ近い大きな花(白やピンク)を咲かせるものもあります。この種類自体は、欧米では既に園芸化されていますが、日本での栽培はちょっと難しいようです。他にも、うぅぅぅぅ(;゚Д゚)なんじゃ。こりは!と言うような種類がいっぱいあります(※)。見たいですか?どうしてもすぐ見たい方は
こちら → Trillium and the Trillium family の中のTrillium photo gallery
※ 個人的にはカタクリのようにうなづいて咲くTrillium catesbaei や花芯に紅紫のブロッチのあるTrillium undulatum がいいなと思いましたが、地面に置いたお皿のような姿の Trillium decumbens はその形だけでなく、葉っぱの模様も面白いし、更にはギボウシのように柄のあるタイプまであったのには驚きました。

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初夏の頃、すっかり薄暗くなった林を歩いていると、エンレイソウの葉や花を全てにした植物に出会います。こちらは同じユリ科のツクバネソウ Paris tetraphylla です。この属名はギリシャ神話に登場するトロイの王子パリスに由来し、数種類が東アジアとヨーロッパに産します。
ツクバネソウ 1988/06/12 太平山にて。
オール3や4の花があるなら、オール5の花があってもおかしくない筈。まずは探してみましょう。

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ところが、(^^;)何故かオール5の花は無く、いきなり6〜8に飛んでしまいました。
クルマバツクバネソウ Paris hexaphylla は秋田ではそれほど一般的ではありません。山を歩いていて、似たような、或いはもっと枚数の多いものを見かけたら、それは多くの場合、開花前のクルマユリ Lilium medeoloides と思った方がよいでしょう。
クルマバツクバネソウ
1992/07/24 長野県上高地にて。
クルマユリ
1987/06/02 大館市にて。
エンレイソウ属 Trillium 、ツクバネソウ属 Paris 、及びこれらの幾つかの近縁属も含めた植物群は通常、ユリ科に含められておりますが、エンレイソウ科として独立させる学説もあります。

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科の名前はどうあれ、この植物群の中で一番立派な花は、誰が何と言おうが、キヌガサソウ Kinugasa japonica (日本特産、一属一種)だと私は思います。
キヌガサソウ 1993/07/17 白馬岳にて。


折角の機会なので、今まで紹介した花達とちょっと形の似た花を紹介しておきます。
ツマトリソウはキヌガサソウによく似た形をしていますが、サイズが全く違うので迷う心配はありません。
ゴゼンタチバナChamaepericlymenum canadense
(ミズキ科) 1991/06/29 八幡平にて。
ツマトリソウTrientalis europaea (サクラソウ科)
1987/06/28 月山にて。左の4枚葉はゴゼンタチバナ。

本頁作成にあたっては、次の書籍を参考にさせて頂きました。
◆朝日百科 世界の植物 9
◆週間朝日百科 植物の世界10/種子植物/単子葉植物2
◆世界のエンレイソウ(河野昭一・編、海○舎・発行)
 ○の中に入る漢字ですが、(^^;何と読むのかわかりません。「遊」から「しんにょう」をとり、左に「さんずい」を付けた字です。

延齢草関係サイト(2003/05/03追加)
◆◆胡弓・原一男のCO-Q WORLD のギャラリー/花のギャラリー
原一男氏は著名な邦楽演奏家。そして園芸研究家でもあります。現在、改良園の会報紙「園芸世界」に「身近な園芸の哲学/園芸の本質を探る」を連載中。真摯でとても味わいのあるエッセイです。
◆◆花ママと花パパさん(札幌)コジマエンレイソウ他多数
同サイトには最近何かとお世話になってますが、そもそも最初に知ったのはエンレイソウがきっかけでした。


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(本頁は2003/04/06にアップしました。05/03リンク追加。)