リメイク版 秋田駒ケ岳の花&ムーミン谷の秘密

本頁は1990年頃、私が所属していた植物愛好会の会員向けに書いたガイド記事「秋田駒ケ岳の花」をベースに作成し、
1999年6月にアップしたものである。その後、2003年10月に閉鎖(正確には消失)したが、今回、リメイク版として復活。

ヒミツのムーミン谷

最高峰の女目岳(女目とはお妾さんの意味だそうな)を除く秋田駒の正式な家族(男岳、横岳、女岳、子岳)に囲まれた細長い火口原は、
誰が名づけたか、『ムーミン谷』と呼ばれる。男岳や横岳の稜線から見下ろすと、小さな池や道も見え、こりゃ楽しそうな場所だなと思うが、
帰りにヒイコラまた登ることを考えると、つい行きそびれてしまう。
その日、千沼ケ原や乳頭まで縦走するのであれば、無理強いはしないが、秋田駒単体だけの訪問ならば、是非訪ねてみよう。
大焼砂からムーミン谷を望む。左に女岳、右に男岳。
昔から『ムーミン谷を見ずして秋田駒を語ることなかれ』との言い伝えがあるほど(嘘)で、そこから仰ぎ見る男岳や横岳の稜線は、北アルプスの涸沢から仰ぎ見た穂高にも匹敵する光景.. とまあ、いくらなんでもこれは大袈裟だが、まずは騙されたと思い、一度、訪ねてみるといい。
以降、病みつきになることは請け合い。ここにその魅力の一端を紹介すると・・・
1.とにかく静かなこと。阿弥陀池周辺の喧騒が嘘のよう。かといって、全くヒトが居ないわけでもないのでご心配なく。
 
2.景色は先の比喩ほどでは無いが、それなりに素晴らしい。東北ばなれした山岳風景が楽しめる。
 
3.どこまでも続くチングルマの大群生。

4.エゾツツジ、ハクサンチドリ、ウサギギク、ヒナザクラなど秋田駒のきれいどころに親しく接することが可能。他にも(^^;意外な花が!

と言ったような按配だが、花をとるなら写真で。かといって写真なら何でも許されるわけではない。
かつて私の親しかった方で、特定の花を強調したいがあまり、剪定ばさみで周囲の邪魔な草を皆刈り取ってしまったケースもあったが、斯様な行為は言語道断。
何故、その時、私は諌めなかったか。たまたま他の花の撮影に夢中だったせいもあるが、あのはさみ使いの手際の良さは、尋常ではなかった。
それ以上に山に剪定ばさみを持ち込むこと自体、信じられなかった。 なお、この方は当時、県の自然保護指導員の肩書きも持っていた。
皆さんはここまで極端な芸術志向、或いははさみの使い手でないと思うが、撮影の際には、対象物の手前や周囲の植物に対しても、十分なる配慮を。
ムーミン谷は秋田駒に残された最後の楽園だからこそ、見苦しくロープなど張られることなく済むよう祈りたい。
このように見渡す限りチングルマという場所は本州では珍しい。
チングルマ Geum pentapetalum
下から見た写真はあまり見かけない。
チングルマ実の海
チングルマのワンマンショーみたいになってしまったが、ここには他にもいろいろな花が咲いている。
以下、オリジナル版では未紹介の花たち。
トウゲブキ Liguralia hodgsonii  ルマユリ Lilium medeoloides
エゾニュウ Angelica ursina
北海道の草原で壮大な姿を見かけるが、秋田駒ムーミン谷のそれもみごとだ。
オヤマソバ Pleuropterophyllum nakaii
周りはなんとコマクサだらけ。
マルバキンレイカ Patrinia gibossa
低山の崖地でも時折見かけるが、こんな高い場所で見たのは初めて。右隅にハクサンシャジン。
同じくオリジナル版では紹介してなかったムーミン谷の山岳風景。
横岳の一角
6月のムーミン谷。背景は男岳。

秋田駒の遠景

コマクサをはじめとした花はよく紹介されるのに、秋田駒ケ岳の姿が紹介されることはあまり多くない。
私は花と同様、山岳風景にも興味があり、中でも「白い山フェチ」なので、晩秋の秋田駒を下界から眺めた姿を紹介してみる。
秋田駒そのものは山としてはコンパクトだが、二つのカルデラとその後噴出した幾つかの火口丘から成っている。
その地形は思いのほか複雑なので、見る角度によって形も雰囲気も大きく異なる。
仙北市田沢湖町郊外より。左の尖ったのが男岳(外輪山)。右の丸っこいのが女岳(火口丘)。
田沢地区から眺めると、
男岳の左後ろからおめかけさんの女目岳(火口丘)がニュッと顔を出し、正妻の女岳は右奥に隠れそうになる。
山の形は良いのだが、スキー場になった斜面が痛々しいと感じるのは私だけか。
岩手県側、雫石町赤渕付近より眺めると、
なだらかな横岳(外輪山)が前面に張り出し、森林も豊かなので、秋田から見た駒ケ岳とはだいぶ印象が違う。
奥に突き出したのは、左から女岳(火口丘)、男岳(外輪山)。

以上の写真は1987年から1990年にかけて撮影したものである。
1991年以降、私は秋田駒にはさっぱり登らなくなってしまったので、その後どうなったかは不明。
皆さんが入山の際は、私の昔話を鵜呑みにせず、ちゃんとしたガイド・ブック、地図等にて、最新の状況を確認されるように。

主な参考資料
・工藤茂美・著、『秋田駒ケ岳・花の旅』 栃の葉書房
・豊国秀夫・編、山渓カラー名鑑『日本の高山植物』 山と渓谷社、4500円+α
・高橋正樹、小林哲夫・編、フィールドガイド日本の火山4『東北の火山』 築地書館、2100円

最近刺激を受けた書籍
・田村武志・著、『秋田駒ケ岳花抒情』 秋田文化出版、2400円(右写真)
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(本頁は2009年1月10日にアップしました。)