リメイク版 秋田駒ケ岳の花&ムーミン谷の秘密

本頁は1990年頃、私が所属していた植物愛好会の会員向けに書いたガイド記事「秋田駒ケ岳の花」をベースに作成し、
1999年6月にアップしたものである。その後、2003年10月に閉鎖(正確には消失)したが、今回、リメイク版として復活。

はじめに

1990年代の初め頃だったか、山と渓谷社が雑誌『山と渓谷』誌上で読者を対象に高山植物の人気投票を行ったところ、堂々第1位に輝いたのは、コマクサだった。
コマクサ
さらに2、3位あたりにエーデルワイス類(ウスユキソウの仲間)とチングルマ、少し離れてニッコウキスゲやイワカガミもあったように記憶している。
いずれも今回紹介する秋田駒で見られる花ばかりだが、特に女王格のコマクサとエーデルワイス類(ここではミヤマウスユキソウ)が一緒に観られる贅沢な山は国内広しといえども、秋田駒ケ岳ぐらいではなかろうか。
この山、ほかにも花の種類が豊富であり、枚挙にいとまもないのだが、少々残念なのは特産種が無い点。奥羽山脈に連なり、いまだに蒸気を吹き上げる新しい火山だから、それはしょうがないか。しかしエゾツツジやイワブクロのように中部山岳に産しない北方系のキャラクターや、タカネスミレのように分布の限られた花もある。もちろんヒナザクラやトウゲブキ、ハクサンシャジン、シロバナトウチソウなど東北の高山常連メンバーもそろっている。

日本アルプスならば2500m以上の高所でやっと面会できる高嶺の花達に、ここでは、千数百mの高さでいとも簡単に面会できる。緯度が高い分、高山帯が下がってくるのは当然だが、下がり方が少し激しすぎるような気もする。他に冬の厳しい気候や地形、火山活動なども影響しているものと思われる。

我が郷土にこんな素晴らしい山があったことを改めて誇りに思う。しかもかなり上まで車で行け、歩き出したら5分もしないうちに高山植物と対面出来る。あとは1時間ちょっと重力に抗するだけで、核心部分に至るのだから、私のような足弱不精者にとっても有難い話だ。
山麓(仙北市田沢湖町郊外)から仰ぎ見た秋田駒。左の尖ったのが男岳。右の丸っこいのが女岳。
横岳稜線から田沢湖方面を見下ろす。 左の黒く煤けた山は女岳。右端の岩壁は男岳の連なり。
手前の黄色い花はミヤマダイコンソウ。

恒例により、秋田駒に咲く代表的な花をご紹介するわけだが、何分ともその方面では有名な山なので、既に著名な先達による植物の本も多数出ているし、各種登山ガイドでも何回となく取り上げられている。今更何をもうずいか(^^;である。
従って、ここでは学術的なこと、登山ルート等については、敢えて一切省き、モウズイカ流にアバウトな植物紹介を試みる。

秋田駒の花1

ミヤマキンバイ (バラ科) Potentilla matsumurae   
とてもポピュラーと言うか当たり前すぎる高山植物だが、コマクサもエゾツツジもまだ咲かない早い時期に、駒の山頂を彩る姿が印象的なので、トップバッターに担ぎ上げた。
ミヤマキンバイ

小柄ながらも、その黄金色は眩しく、よく見ると、花弁にはえくぼのようなオレンジのブロッチがあり、こちらもつい微笑んでしまう。
生育範囲は適度に湿ったところからガラガラの乾燥地まで広く、通常はいろんな花とパートナーを組む。
鳥海ではハクサンイチゲと一緒に、焼石ではハクサンイチゲやユキワリコザクラと一緒に咲き、どちらかと言えば、脇役の傾向があるが、 秋田駒では何も無い裸地に単独で群れることも多く、それはそれで立派。
6月のミヤマキンバイ。
バックは男岳。左の丸い山が女岳、雪渓の残る窪地がムーミン谷。
タカネスミレ
タカネスミレ (スミレ科) Viola crassa
秋田駒では黄色のスミレが3種類見られる。
八合目から歩き出して最初に出会うのは、オオバキスミレ 。ゴワゴワした照りのある葉が印象的。雪との関係が深いスミレのようで、雪崩斜面などでは、しばし大群生。秋田では、低山にも豊富に産するので、ここでの紹介はパス。
オオバキスミレの生えてる角を曲がると、今度はスレンダーな黄スミレ、キバナノコマノツメが出て来る。この黄スミレはここから山頂までずっと付き合ってくれる。華奢な草姿の割にはしぶとい花だ。
さて、お目当てのタカネスミレだが、こちらはコマクサが生えるようなガラガラの裸地ばかり選んで群生する。
大焼砂(おおやけすな)付近の大群生はみごとだが、開花は6月と早く、コマクサの咲く7月にはもはや葉しか残ってない。なお葉っぱは丸っこくツヤツヤしているので、探すのは容易。他の山にはおいそれと無いスミレなので、一度は花を見たいものだ。













大焼砂(おおやけすな)を望む。
コマクサやタカネスミレの群生のある場所。
写真のように、監視員の目を盗んで、柵をはみ出る人が跡を絶たない。
コマクサのアップ。
幼年時代の私は、コマクサが生えてるから『駒ケ岳』なのかな
と勝手に信じていた。
コマクサ (ケシ科) Dicentra peregrina
実は私、個人的にはこの花、あまり好きではない。理由は簡単。あまりにも有名だから。
ただこの花を目当てに秋田駒に来るヒトがあまりにも多いので、今回は載せざるを得ない。
生えてるところは、山頂の東南側、横岳の斜面一帯で、大焼砂(おおやけすな)とも言う。
ここは8合目駐車場から割と離れており、国見温泉の方に滑り落ちていくだけなので、
帰りがしんどいと言って、折角のコマクサ群落を見ずに戻ってしまう方も多い。
こういう方でも、山麓の山野草屋に寄れば、鉢植えのコマクサを見ることは可能だが、あまり自慢出来る話ではない。
なお自然群落ならば、私はまだ行ったことはないが、隣の岩手山の方が規模も大きく、見応え十分と聞く。
コマクサの群生


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(本頁は2009年1月10日にアップしました。)